虫歯等で歯の上部が大きく失われ、抜歯してもおかしくない位の根(残根)を入れ歯の維持の必要性から無理に残す場合があります。そのような状況の歯に単純にさし歯を作りそれに入れ歯を維持するための針金(クラスプ)をかけても土台や根の強度をはるかに超えた力がかかるため、早い時期に土台が根からはずれたり根が割れたりするトラブルが高頻度に生じます。そのためこのような状況の歯を残すに際しては以下のような選択肢が考えられます。即ち
①さし歯が早期に駄目になるのを覚悟でさし歯にクラスプをかける。
➁入れ歯が動き易くなるのを覚悟でさし歯にクラスプをかけない。
③さし歯にせず根にふたをして入れ歯をその上にのせ、入れ歯が沈む動きのみを抑える。
④根のふたと義歯に磁石を組み込み入れ義歯の沈み込みとはずれる動きを抑制する。
いずれの選択肢も長期に安定した機能を期待できるものではありませんが、抜歯に至るまでの移行的な期間の快適性に関しては若干の差がありますのでそれぞれの特徴を十分ご理解の上ご自分に一番合った選択肢をお選び下さい。
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治療方針 | さし歯が早期に駄目になるのを覚悟でさし歯にクラスプをかける | 入れ歯が動き易くなるのを覚悟でさし歯にクラスプをかけない | さし歯にせず根にふたをして入れ歯をその上にのせ、入れ歯が沈む動きのみを抑える | 根のふたに磁石を組み込み、入れ歯の上下的な動きを抑える |
説明図 | ||||
入れ歯の維持 | ○ | × | × | ○ |
入れ歯の沈み込みに対する抵抗 | ○ | × | ○ | ○ |
根に対する負担 | × | ○ | △ | △ |
機能期間 | × | △ | △ | △ |
費用 | 保険可 | 保険可 | 保険可 | 保険不可(磁石本体6万円+消費税) |